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京都人の「さん付け」

方言というのは、「なんやねん」みたいな全国区のものもあれば、かっちりとした「型」がないために地味ではかないものもある。「何々弁講座」なんかでも取り上げられることのないものだ。

あまり関西弁の「型」として脚光を浴びることはないけれど、私が関西に来てちょっと驚いた言いまわしは、「○○できない」というところを、
「よう○○せん。」
とやるやつだ。


「え?餅つき?いやー、餅つくんはええけどワシよう餅くわん。もう歳やさかい、咽にひっつくモンはあかんねん。」

こんなかんじである。
(ここで関西弁のワンポイント。「歳」を「ト↑ッシ」とアクセントを置くとらしく読めます。)


なぜ驚いたかというと、古文、漢文にでてくる言い回しが関西だけで残っていたことに驚いたのである。
つまり
「誰能拒之」
にあたる漢文は書き下しでは「誰かよく之を拒(ふせ)がん。」
とよむのだが、この「よく○○せず」という言い回しは現代日本語からはほとんど絶滅しかけているが、関西のおっちゃんはしばしばこのフレーズを使うのである。
推測だが、漢文書き下しを日常的に行っていた時代にはこのいいまわしも違和感のない「日本語」であったのだろうが、今は関西圏のみの絶滅危惧種になってしまったのだと思われる。


これと同様に、なんでやねん的な「型」は持っていないが有名な事例として京都の「はる付け」がある。
「はる」とは微弱な尊敬語であって、
「あら、先生元気してはりました?」
「あら禁煙してはんの?せやさかい肌もええ色してはんねやなあ。」
みたいな活用をします。

んでよく言われるのが、京都人はネコにもイモにもこの「はる付け」をするというやつで関西の他の地域ではあくまでも「はる」は尊敬語の一種として人間様に向かって使われるが京都人は「猫が日向ぼっこしてはるわ。」とか「このおいもさん、えー色してはるやろ?」とか何でもかでも「はりはり」言いたがるということで、いってみりゃ汎神論的というか物心論的な匂いが漂う言い回しとして有名なんです。



で、これと同様に地味なんだけども、見逃せない京都に独特の現象ということで発見したことがあります。
それは「さん付け」です。

上の「はる付け」と近い話なんだけど、生粋の京都人というのは誰に対しても「さん」しか付けない、ってことを発見したんですよね。
人にたいして「あべさん」と言うのは普通だけど、芋だって「お芋さん」になるし寺は「お寺さん」とか「仁和寺さん」にになる。歴史上の人物もたいがい「さん付け」で「これは弁慶さんの突いた鐘や」となる。そしてどんなに目上の存在に対しても絶対「様付け」はしないのよね。「かみさんのバチや。」「死んだら誰でもほとけさんになるるんや」とそんな感じです。


そして最たる例があって、それは「天皇さん」。
まあこれは有名な話ではあるんだけど、京都のひとは「陛下」はつけないんです。「天皇さん」。
幕末の本を読んでいて、尊皇攘夷の志士は「聖上」「お上」とか勿体付けて言うときに京都の庶民は「天皇さん」と言うからギャップが大きくておもしろいですよね。これは京都だけの現象で、他の関西圏には見られません。




私の会社はだいぶ前に「さん付け運動」的なことをやったらしくて今は基本的に「山田部長、電話です。」みたいなことはなくなっている。(社長もさん付けで呼ぶ文化になっている。)けど、取引先に行くと「役職付け」の文化はかなり強固だったりしてちと焦ったりするんだよね。
でも、日本言語史からすると「役職付け」はむしろ圧倒的なマジョリティでありむしろ今のようにどんな立場の人間にもつけれる敬称というのは非常に特異なものなんです。
「判官贔屓」という言葉があるように、昔は基本的に役職名をもって人のことを指したのです。
(判官贔屓がわからなければググってください。)

役職でない場合は、住んでる場所を使うことが多く、その名残が「殿」という言い回しです。
「殿」は「大御殿」の殿で、大きな屋敷にすんでるからエライ人のことを殿といったのです。


このように、実は「さん付け」というのは日本言語史においてはかなり革命的な現象といえます。なので京都人の「さん付け」の平等性という特徴は以外な注目点なんじゃないか、と思ったので書いてみました。



以上えらい長くなってすいません。


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.27 2010
歴史とか comment(2) trackback(0)

comment

fxxk本
こんなに上方訛りが面白いものだとは、色々脱帽です
2010.12.27 21:34
玉蟲
大変興味深く拝読しましたが、最後の「以外な注目点」は「意外な〜」の誤変換ですね。ご訂正願います。あ、こちらの投稿はコメント欄に反映されなくても結構です。何故か「非公開」が選択出来ません。
2015.01.15 11:21

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