最近ネットで話題になっているTPPだけど、から騒ぎがひどくなっているのでここで一旦色々な情報をまとめて整理してみます。
まず、全体的にTPPについて私が感じていることは、まさしく
TPPは「国論を二分する」ほどの問題ではないという一点につきます。
その理由は、
・過去、色んなGATウルグアイラウンドやWTOなど貿易自由化交渉は何回もあったけど、結局うやむやで終わることが多かったので、野心的な貿易自由化を狙えば狙うほど交渉国同士の妥協ができずに終わる可能性が高い。
・っていうか、アメリカってこれまで散々「門戸開放せよ!」って言ってきたわりに、実際に貿易自由化が前進してもむしろアメリカの国内産業が衰退してるだけじゃん。(牛肉→オーストラリア 半導体→韓国・台湾 自動車→日本企業が現地生産)
・すでにアメリカと日本の間って、かなり貿易自由化してるんで今更TPPやっても全体として見れば影響力は小さい。
このように、TPPというのはアメリカ↔日本の比重が高いがゆえに、たいした話題と思えないのです。
むしろ中国・韓国との貿易交渉とかの方が重みがありますよね。
アメリカ陰謀論について
■中野剛志氏 TPPで日本が滅ぶ [書き起こし]TPPがどれだけヤバイかをわかりやすくまとめたスレアメリカで「TPP」を推進して米政府を操る黒幕たちの正体こんな風にアメリカ陰謀論的な話がたくさんでているんだけど、門戸開放するのはいいけどアメリカって輸出できるものたいしたないじゃん。という疑問は全然解決しない。
むしろ、アメリカの政府内部でもTPPについてはコンセンサスができてない、と指摘する大前研一の言ってる事のほうが納得できる。
米国は貿易相手国に門戸を開かせるまでは熱心だが、その後は続かない。いつも「漁夫の利」を得るのは他の国なのだ。これを「滑稽」と言わずして、何と言おう。
こうした米国の問題は、「門戸を開く」役目を担うUSTRと「門戸開放後」を受け持つ米商務省の連携がうまくいっていないことに起因している。
もっと正確に言うと、商務省や国務省は「もはや相手国に貿易を自由化させたところで米国内の雇用や経済が改善するわけはない」と諦めているのだ。だから日本が落花生や牛肉、オレンジの輸入を解禁しても、それをフォローアップすることがない。あと、TPPの話からいきなり
「日本の国民皆保険制度が破壊される!」とか
「労働力が自由化されてアジアから大量に労働者が国内に流れ込む!」とか
飛躍するのが謎。
そんなラジカルな貿易自由化、他の国だって合意しねーよ。
よく話題になる農業だけども、この点はかなり奥が深いので簡単に判断下せないかなとおもう。
少なくともコメについては国内産業は焼け野原になるでしょうね。
「TPP農業問題」を解決するただ一つの道ある農業最適地に日本の農家の人を連れて行ったことがある。見渡す限りの広大な土地に、考えられないほどの少人数で大々的に機械化された農業を営んでいる姿を見て、彼らは感動のあまり涙を流していた。
そうした大規模農業と比べたら日本の農業など家庭菜園のようなもの。生産性は比較にならない。たとえば日本で「1キロ500円」でつくっているコシヒカリが、オーストラリアでは「1キロ25円」ほどで生産できるのだ。
TPPに参加すればこうした国々とハンディなしの“対等な土俵”に立たされるわけで、高齢化問題を云々する以前に勝負ありとなる。要するにTPPをやるということは、日本は「農業最適地から輸入する国になる」ということなのだ。食料自給率については、日本が戦争に巻き込まれて外国から食料が輸入できないときはどうするんだ!という話になりますが、そもそも石油・天然ガスが輸入できなくなった時点で日本は一瞬で沈没するので食料だけの話をするのは片手落ちもいいとこだと思います。
食料自給率低下にもTPPにも猛反対している農水省やJAですが、たかい関税障壁がもたらす利権構造の上に安住している組織なので、ここはメスを入れないと話にならんでしょう。
農水省はなぜTPPをきらうのか「農業の守り方を間違った」元農水次官の告白
全体としてみると、交渉のテーブルにつくだけで世論沸騰する現状というのは不可解です。
原因としては
TPP反対と反原発の根っこは政府への不信感にあるのでしょう。
政府への不信感は私も強く持っていますが、陰謀論や亡国論がふきだすネット世論の状況はあまりにも行き過ぎ。
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